「えぇ!!うっそぉ!?」


「ちょっ!…ちゃん声がおっきいょ。。。」


「だって、あの五十嵐馨と付き合っときながらまだセックっん〜!!」


「だから声が大きいんだってぇ/////」















昼休み。




私はいつものように大の親友のちゃんと屋上でお昼を食べていた。





するとちゃんは突然、『五十嵐とはどこまでいったの?』っとおばちゃん口調で聞いてきた。


だから『最近は…どこも出掛けてないなぁ。』って答えたら軽くほっぺを抓られた。





「そういう意味じゃなくって。」


「いひゃい。。。」


「はぁ…チューとかエッチとかの話。」


「…!ほぇっ/////」





…っで正直に話したら今に至るって話。








。マジで言ってんの?」


「…うん。」


「迫られた事が無い訳じゃないよね?」


「…うん。」


「っでも、拒否っちゃったんだ。」


「…うん。」







「五十嵐かわいそっ。」っとちゃんは溜息をついた。







「…だって怖いじゃない?」


「何が??」










「馨って経験豊富だから…満足させられなかったら嫌なのっ。」








「まっ。らしい答えだ。」




ちゃんはさっき抓った私の右頬を優しく撫でてくれた。


これはちゃんなりの優しさだってわかる。







ちゃんは!?」


「はい?」


ちゃんは春くんと…はぢめてって、怖くなかった??」


「ははっ。言うだけで赤くなっちゃって。」









「怖いというか、あまりにも優しすぎてびっくりしたよ。」




そうサラッと言ったちゃんは大人に見えた。





「あんた達付き合ってもうすぐ一年よ。よくあの五十嵐が保ったわ。」


「…。」







「替わりにどっかの女で発散してたりして〜。」


「そっ!そんなことないよ!!」


「例えばの話だも〜ん♪」





そう言うとちゃんは空のお弁当箱を持って屋上を出ていった。





「そんなこと…ないよね?」







































*****



「か〜お〜るん♪」


「おっ!かおるんってえぇな♪♪」



「そこのバカップルうるせぇよ!!」






昼飯を食い終わり本を読んでいた時、うるさいのが来た。




は俺の女の親友。


さらに春の彼女らしい。


度々のろけ話を聞かされる俺の身にもなってみろよ。





から聞いたんだけど、
あんた等まだヤってないんだってぇ。


かおるんそうなん!?



「かおるんじゃねぇ!!」





何を言いに来たんだコイツ等は!!





「ねぇ〜♪」


俺の真っ正面に立って満足そうな笑みを浮かべる









…。











「…あぁ。」







「…他の女には手出してないでしょうね。」


「決まってんだろ。」







「へへへっ♪そうだと信じてた。」






「なんやの?俺除け者にして。」


「春はいいのっ♪」



じゃあねっとは春の背中を押してドアの方へ歩いていった。

















「あっ!そうだ!!」





何か言い忘れたのか、が俺の元に走り寄り耳元で囁いた。



俺はその言葉が理解できずを見上げたが、


はその後何も言わずに去っていった。




































*****



ちゃんの言葉が気になって、午後の授業は全く頭に入らなかった。








『替わりにどっかの女で発散してたりして〜。』






馨がそんなことするわけない。


…とは思いながらも不安になってる私がいる。









…馨は昔、本当に女癖が悪かった。



でも、馨が告白してきてくれたとき私の目の前で携帯をへし折ってくれたし、(そこまでしなくてもいいと思うけど。)


我が侭だけど、私のことを第一に考えてくれる。






そんな馨に対して、少しでも疑っている私。















最低だ…。











「どうすればいいの。。。」





































そんな私に追い討ちをかける出来事が起きた。













帰り道。




部活を終えたレギュラー陣は残練をし始める。





私は夕御飯の準備をする為(あまり馨に関わらないように)皆に声をかけてから足早に家路を急いだ。



いつもの通学路の公園を横切る。












その時だった。



「昔の話なんだけど〜。私って、馨に抱かれた事あるんだぁ♪」



その言葉が遠くから聞こえ、世話しなく動いていた私の足はピタリと動かなくなってしまった。



私の近くの植え込みのすぐ裏に女の人が二人、真っ白いベンチに腰をかけていた。




…学校の先輩。


制服が同じだから絶対うちの高校だ。





「えぇぇぇっ!!馨ってあの五十嵐馨!?」


「そうに決まってるじゃん♪♪」




自分の鼓動が早くなる。


聞きたくないのに音が入ってくる。



逃げたいのに足が動かない。







「しかも、私が初めての女らしいのよっ!!」


「えぇぇぇっ!!!それって凄すぎじゃん!!!!」





















…えっ。













「…あっ!もうすぐ塾始まんじゃん!!」


「ちょっ!続きが気になるってばぁ!!」









走って塾に向かう先輩方の声が小さくなっていく。





頭がそう理解すると足の力が抜けその場に座り込んでしまった。


ぶつけた膝から赤い血が滲んできたが痛みを感じる余裕なんてなかった。





















この先輩が…馨の、初めて…?





やだ…



なんだろ…?



…すごく、苦しっ…い。















助けて…。
































*****



残練を終え、いつも通りの時間に家に着いた。


玄関に足を踏み込むとほぼ同時に俺の携帯に電話が入った。



『…っもしもし、馨!?』


「狐白…どうした?」


『そ…それが、家に帰っ!ちょっ、虎黒!!』


『っ馨!俺オレっ!』


「あぁ…虎黒。なんだ?」






『っ…がいないんだっ!!!』









「あぁっ!?」







虎黒の言葉があまりにも予想を反することで俺は玄関なのにも関わらず大声をあげた。




『家に帰ってきた形跡すらねぇんだよっ!!』


『…俺達ももう一度近所を探してみるから。馨には伝えとこうと思って。』


「狐白…わかった。」







俺は携帯の電源を切ると脱ぎかけの上着を羽織直す。





「おい。出掛けるぞ。」




再び暗い寒い世界に足を踏み出した。
























車を出し、の行きそうな場所を手当たり次第当たってみる。


すると学校の近くの公園に人影を見つけた。





「…止めてくれ。」





俺は車を降り、黒い影に駆け寄った。


























「…か、おる?」





その影の正体はやはりだった。


座り込んで、瞳を潤ませている。


顔には涙の跡が残り、地面には小さな水たまりができていた。







「…何やってんだ。」






腕を掴んで無理やり引っ張り立たせようと試みる。


しかし思いのほか手は氷の様に冷たく、足にも力が入らずまた座り込んでしまった。


そのせいで膝が余計に赤く染まっているのに気付いた。







俺は小さく舌打ちをし、自分の上着をに掛けて抱き上げた。(俗に言うお姫様抱っこだ。)




は驚いた反応も無く、ただ俺のコートに自分の身を小さく縮こまらせていた。







俺はそのまま車に乗せて自分の家へ向かわせた。



































*****



気が付いたら馨の家(部屋?)にいた。




どうやって此処まで来たのかすらわからない。




寒さから感覚が戻り、ようやく膝から血が滲んでいることに気付いた。






メイドさんから温かいココアを受け取る。


カップまで温まっているそれは、今の私には痛いほど熱かった。(いつもなら丁度良く感じるんだろうな。)








馨は部屋の隅で電話をかけている。


…きっとシロちゃんに連絡をしてるんだろうな。











よくよく考えると、とても申し訳なくって逃げ出したい衝動に駆られた。








パチンと携帯を閉じ、馨が近付いてくる。









…顔は明らかに不機嫌だ。












「狐白に今夜はうちで預かると連絡を入れておいた。」





前で仁王立ちして私を見下ろす。





私は何も言えず、ただただ足下の高そうな絨毯を見つめていた。








そんな私に呆れたのかもしれない。


馨は深く溜め息をついて一つの箱を持ってきた。






「…っ痛!!」




「我慢しろ。こんなんにするまでぶつけたお前が悪い。」


そう言いながら私の膝を手早く消毒してくれた。

























「…ひっ、く。うっ、…」







馨の優しさに涙がこみ上げた。





馨のことを信じれてなかった自分自身がとても馬鹿らしくて…嫌いだ。




「かっ…かお、るぅ…。」


「あぁ?」





























「私ねっ、馨の彼…女の資格、ないよぉ…。」












私は今日1日の出来事を全て話した。


嗚咽で所々聞き取れなかったかもしれないけど、私の本当の気持ちを全部。



馨は何も言わずに私の涙を拭いながらただただ私の話を聞いてくれた。










私が一通り話し終わると、馨は私の顔に両手を添えた。




「…不安にさせて、悪かったな。」


私と馨のおでこがコツンと音を立ててくっついた。






「俺は前科があるから、お前にそう思われても仕方ねぇ。」












「…だから自分ばっかり責めるんじゃねぇよ。。。」





馨は今まで見たこともないほどの不安な顔をしていた。


試合前でもこんな顔したことない。









胸の奥がキュッとした。














「ご…ごめんねっ。。。」








私は馨の首に手を回し、キツく抱きついた。
































こんなに馨を愛おしいと思ったことは無いかもしれない。












馨の初めてはもう無理だから、





私の初めてになってもらいたい。














私は馨から離れ、さっき貰ったココアを一口飲んだ。



















「かお…る?」





























今日のこの寒さと、甘いココアの味は生涯忘れることはないと思う。






































「…私を抱いてくれませんか?」










































FIN



なんか続きそうねっ・・・。
前に『馨くんの裏も見たい』っと言っていただけたので、
ちょこちょこ作っていたのですが・・・。
前振りが長すぎて切ってしまいました。。。

続く・・・かなっ?











 

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