校庭で意識を失ったはずなのに目が覚めたら廃校の体育館にいた。






体育館のフローリングが月明かりに照らされ怪しく光る。






























これから恐怖が私達を襲う。

























「…気を失う前、また女の子の声が聞こえたの…」




「えっ、俺は聞こえなかったけど…。」




「それってオバケの声ぇ??」




「雄。オバケなんているわけないやろ。」




「俺は…いると思います。」










オバケがいるいないでもめる皆。
















ドアがガタガタ音を立てて揺れる。





微かな木々のざわめきは屋外の風が強くなったことを教えてくれる。
















「でも気味悪いよなぁ。」




「もぅ旅館帰ろうよぅ。。。」




「そうだね。」




「抜け出してるのがバレたら活動停止になるしな。」
















そう言うと皆は外へ通じるドアを探し始めた。









月明かりと風のせいで鳴る音だけを頼りに。










ワックスの掛かった床は一人が歩く度にキュッキュと音が鳴る。















すると虎黒が一枚のドアを開けた。








「あったのか?」




「…うんにゃ。違った。倉庫みたいだ。」








それを聞くと皆は肩を落とした。










倉庫独特の香りが広がってくる。






















何故か虎黒はその倉庫にズカズカ入っていった。








「ちょっ…クロちゃん何やってるの??」




「ん?あそこにラケットが見えたから取ろうかなって思って。」












倉庫内を覗くと棚の真ん中に
テニスラケットが三本置いてあり、月明かりで照らされて神々しく輝いていた。












ラケットを手に入れると倉庫のドアを閉めドア探しを再開した。













































「なかなか見つからないね。」








こんなに大人数で探しているのに関わらず見つかったのは倉庫のドア一枚だけ。







大して月明かりが弱いわけでもない。






なのに壁側は真っ暗。















・・・何かおかしい。












































気を付けて!!
















「えっ…」









































トーン
















トーン
























暗闇の中から音が鳴り始めた。










「っ何だ!」








その謎の音は少しづつ大きくなる。
















すると音の正体が月明かりに照らされた。































「…
ボール?」








目の前にはバスケットボールが弾んでいる。










「なん、で?」




「俺、倉庫閉めたのに!」




「音が増えてます!!」










小太郎がそう言うと皆は一斉に耳を澄ませた。





明らかに
大量のボールが跳ねる音が聞こえる。








「なんかやばくねぇか…。」




「早くドアを探せ!」




















すると…








































ビュン!









「きゃっ!!」













ボールがめがけて飛んできた。











辛うじて交わすと壁にぶつかり跳ね返りまた独りでに弾みだす。






!!大丈夫か!?」




「また飛んでくるょ!」




「皆!走れ!!」










走り出すと同時に
一斉にボールが飛びかかってくる。









皆は動態視力が良いせいか軽々と避けていく。




私は皆に守られながら辛うじてボールを避ける。
















逃げ回っている中に
外に出られるであろうドアを見つけた。

















さっきまであれほど探したのに見当たらなかったものがこれほどまでに簡単に。





そして誰かが教えてくれてるかのように月明かりに照らされてるなんて。














でもその時の私達はこの不自然なことを疑問に思わなかった。


































ただ、いち早くここを脱出することだけ考えていた。
























「あ、あそこ!!」




「よし行くぞ!」








上手くボールを避けながらドアまで移動する。








「早く出ようょぅ。。。」










ドアを開こうと試みたが
固く閉ざされている。







鍵がかかっているでもなく、滑りが悪いのでもなく。







大人数で試しているのに全くびくともしない。












「あ…開きません!!」










「嘘だろ…。」














容赦なくボールが飛んでくる。












「狐白!徹!」








虎黒はさっきのテニスラケットを狐白と徹に投げつけた。








































「…わかった。」








「まかせとけ。」










三人は自分達めがけて
飛んでくるボールをそのラケットで打ち返す。
















「やっべ!バレーボール重っ!!」






「ガットが切れないか心配だよ。」






「お前ら見てねぇで早くドア何とかしろ!!」
























背後で三人が頑張ってくれてる。













私も力にならなきゃ。













でも何とかしろと言われても
ドアはビクともしない。





























どうすれば…











































「先輩達下がってください!」

















すると小太郎が私達に下がるように言う。









何も出来ない私達はそれに従うしかない。

























小太郎はいったんドアから離れ助走を付け…










































ドアを蹴り破った。



















今まで全く動かなかったドアは
鈍い音を立てて壊れた。








「…小太郎も大したもんやな。」




「自分の長身を生かしたな。」




「コタロすっごいしぃ♪♪」










「感心してる場合じゃありません!早く外に逃げましょう!!」


















やっと開いたドアから一人づつ表に出る。








私達が外に出るとさっきまでの
強風はパッと止まった。










空を見上げる。






意外と月が明るく少し目がくらんだ。
















「ボールは!?」












体育館の中を見るとボールがまだ跳ねている。







でもさっきみたいに飛びかかってこようとはしない。







むしろ倉庫の方に戻っていく。
















「…ここから出れねぇようだな。」












馨が足下に転がっているボールを拾う。






力の抜けたそれは
ただのテニスボールに戻っていた。






























「っ疲れたぁ。。。」




「やっと外に出れたわけだし帰ろうょぅ。」




「そうだね。早く帰ろう。」




「もうこんな怪奇現象こりごりや。」




「俺も…もう十分です。」




「俺、当分ラケット握りたくねぇ。。。」




「おら。帰るぞ。」












そう言うと馨は私に拾ったテニスボールを渡した。













「はい。」














私はそのボールを体育館に投げ込むと皆の後ろについて歩きだした。
















































静かな廃校。









夏なのに蝉の一つも鳴かないこの場所で。





































体育館にはボールが跳ねる小さな音が今でも響いている。



















































-----あとがき-----



参話目です。

なんか体育館の幽霊って寂しい気がします。

体育館の中でしか魂を持たないボール達。

チョット切ない・・・っと思うのはモカだけなんでしょうか??




小太郎は長身なので力が強いんです。

優しいコですが力は強いんです!

























SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送