何故私達はこんなことに巻き込まれたのだろう。










きっと此処にいる誰もが思っていることだと思う。





時が止まり、暗闇に支配された世界。





















そう簡単に元の世界に帰ることが出来ないことぐらい…薄々感ずいてはいたんだ。




































「きゃぁぁ!!」




っ!!」








皆で廊下を歩いている最中、突然脚が動かなくなり前のめりに倒れ込んだ。







「…何やこれ!?」







私の足には何かが絡みついている感覚がある。




スルスルと動くそれは、地面に手を付いている私の腕にも絡み付いてきた。








「…ツル??」








腕にまとわりつくそれは紛れもなく植物のツルだ。







しかし、ただのツルじゃないことぐらい分かっている。







意思を持っているかのように動いているそれは、着実に私の動きを封じている。














「…っ取れない!」







強く腕を動かしてみるが、びくともしない。





「ざけんなっ!!」



さんを放してください!!!」







徹くんとコタが外そうと試みるが、ツルはより一層私に絡みつく。



むしろ、
ツルの邪魔をしている二人に絡み付こうと魔の手が伸びるのが見えた。










「二人共離れて!!」








私が大声をあげたことに驚いたのか二人は手を止めた。










「…下がってて。大丈夫だから。」











ここで皆が捕まってしまったらどうしようもない。




弦は私が暴れない限りキツく巻き付くこともない。








冷静に考えなきゃ。












「「っ!!」」








そう思ったのも束の間、
体が宙に浮いた。




気付かないうちにお腹にもツルが巻き付いていたみたいだ。







もう完全に動きを封じられてしまった。









すると今まで私が座り込んでいた場所に
小さな花の蕾ができた。







それはみるみるうちに大きくなり、人が一人横になったくらいの大きさになった。







誰もが身の危険を感じたとき、その蕾は
ゆっくりと花びらを広げた。




















その姿を見て、私は生唾を飲んだ。











真っ黒な花びらに真っ赤な斑点が付いていた。











まるで
がこびり付いているみたいに。



























「ちょっ…俺、鳥肌立った。」




「…ヤバいんじゃね?」








皆からは見えないかもしれないが、私からははっきり見える。










花の中心には
ノコギリの様な鋭い歯が付いていることを。











私を縛り付けているツルが動き、徐々に花に近づく。








…私を食べる気だ。








皆がツルを引っ張って私を助けようとしてくれているが、やはりそれは
びくともしない。








恐怖で全身が震えた。








怖い





























〜!!」








声の方を向くと、そこには息を切らした雄くんがいた。








「行っくよぉ!!」








すると雄くんは何かを私目掛けて
投げつけた。




縛り付けられて動けない私はそれを受け取ることも出来ない。








私は反射的に目を堅く瞑った。















しかし、痛みどころかぶつかった感覚すら全くしない。







恐る恐る目を開けると、雄くんの投げた物は
私の目の前に浮かんでいた。










よく見ると、片手に乗るほど
小さい白い毛玉の様な、フワフワした物だった。







するとその白い物は白い光を全身から放った。










暗闇に支配されていた廊下は、一瞬にして
に包まれた。










その光があまりにも眩しくて、私はきつく目を閉じた。











しばらくすると、私を縛り付けていた感覚が弱まり、私は
重力に逆らうことなく下に落ちた。













しかし、痛みなど感じることはなかった。










?大丈夫??」




「…雄くん。」










雄くんが受け止めてくれたからだ。











私は雄くんの首に手を回し、ぎゅっと抱きついた。







「えへへぇ。もう大丈夫だよ♪」







そう言うと、雄くんは優しく頭を撫でてくれた。





光は弱まり、辺りがまた暗くなる。




しかし、そこには
さっきの植物は跡形もなく消えていた。




















「なんだったんだ?」



っ!大丈夫か!!」










皆が私に駆け寄ってくる。




しかし皆より早く私の胸に飛び込んできたものがあった。











さっきの
モコモコだ。











私が驚いていると、モコモコの中に隠れていたまん丸な瞳と目があった。







「…あなたが助けてくれたの?」







その子は“撫でて。”と言わんばかりに私の胸に擦りよる。





私は左手でその子を抱きしめ、右手でフワフワな毛並みを優しく撫でた。






嬉しいのか、気持ちいいのか目を細めた。








「まさかそれってケサランパサランじゃねぇ?」




「「ケサランパサラン??」」







徹くんの言葉に、私と雄くんが首を傾げた。







「俺も知ってます!」



「ケサランパサランを見ると幸せになれるってやつか?」



「白粉で増えるんやろ。」







皆が口々に口を開くが、私と雄くんは訳が分からず首を傾げた。







「…まぁ、つまりはいいやつってことだろ。」




「うん♪オレも幽霊に引きずられてるのを助けてもらったんだぁ♪♪」







私の腕の中でまん丸な瞳をパチクリさせている。







「この子突然飛び出すから追っかけてきたら、が大変な事になってるしぃ…。」




「…自分はを助けたかったんやな。」








私は思わず両手でケサランパサランを抱きしめた。




ケサランパサランにとって、とても苦しかったかもしれない。













「…ありがとう。」







私は小声でそう言った。



















にっこり笑ったケサランパサランは何も言わないが、分かっているかのようだった。






































雰囲気ぶち壊しコメント










雄くんとケサランパサランの登場です。

実際、ケサランパサランは何なのか知りません。

友達に聞いたところ、人を願いを叶えてくれるみたいです。
しかし、願いを叶えるごとに小さくなって消えてしまうらしいです。
白粉で増えるというのも友達から聞きました。

妖怪(?)の中にもいい子がいるというのを伝えたかっただけです。





<2007,3,28>

 

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