今の時刻23:31。








部屋で宿題をしていたはずなのに気が付いたら机に突っ伏して寝ていた。







夢の中なのにも関わらず自分の携帯の着信音が流れてくる。




そのせいで俺は現実の世界に引きずり戻された。










眠い目をこすりながら視界に携帯を探す。


単色に光るそれは寝起きの俺の目には痛すぎるほど明るい。





目を慣らしてサブディスプレイを見る・・・と、俺の眠気は一気に飛んでいった。

















一番に。






















急いで通話ボタンを押し、携帯を耳に近づける。









『あっ、もしもし徹くん?です。』










「・・・あぁ。」




聞き慣れた彼女の声は寝起きの俺にはとても心地良く脳に響き渡ったる。







『もしかして寝てた?』


「まぁ・・・軽く。」


『・・・えっ!!ごめんねっ。』







受話器の向こうのは予想通りの反応を示す。


それが楽しくてしたかない。








「むしろ、宿題やってる間に寝ちまったみたいだから助かった。」


『ほんと・・・?よかったぁ♪』







俺がこんなこと言うだけでこんなにも声のトーンが変わる。


こいつの百面相は聞いていても飽きない。


















「んで。どうしたんだ?」


『・・・声が聞きたくなったから。』







は恥ずかしいのか小さな声で言った。






その声を聞くだけで今のの顔が思い浮かぶから不思議だ。















俺は深く溜め息をつく。











「・・・今日だって部活で会っただろ。」


『うっ・・・だって、なんか・・・ねっ。』























・・・今、どもった。
















「…。何を考えてる。」






『な、なんでもないよっ!!』






「バレバレだから。」








がどもるのは嘘をついているときだって。


そんな簡単なことは既に知っている。









『・・・。』









黙り込んでしまった。






きっと何か言い訳を考えてるに違いない。












「いいから言ってみろ。」











俺が更に追い討ちをかけると、はようやく重たい口を開いた。

































『…まだ言えないの。』















『あとちょっと経つまで待って!!』




何を考えてるかわ分からないが、そんなに必死のには訳があるはずだ。









「はぁ…しかたねぇな。」






『えへへっ。ありがとぅ♪』












それから暫く俺達は他愛もない会話をした。













今日の晩ご飯は何だったとか、


家で虎黒がタンスの角に足をぶつけたとか、


狐白が卵焼き作ろうとしてまたフライパンごと真っ黒にしたとか。








俺にとってはどうでもいい話ばっかりだったが、は楽しそうに話してくれる。













受話器の向こうのの声は優しくて、まるで隣にいるかの様な錯覚に陥る。







また、その気持ちは徐々にに会いたくなる気持ちに変化していく。








































『あ。時間だっ♪』









は話の最中でやめた。







何の時間が来たのか分からないまま俺はが出す次の言葉を待つ。




















『徹くん。カーテンを開けてみてっ♪』











何が始まるのか分からないまま俺はその言葉に従い、東側にあるカーテンを開けた。





































「徹くんお誕生日おめでとうっ♪♪♪」


















あまりにも驚きすぎて言葉が出てこなかった。














今まで電話してた彼女が。









会いたいと思っていた彼女が。
































今、うちの前にいるなんて。























手の力が抜け、携帯が床に落ちた。






ガシャンという鈍い音のおかげで我に返り、急いで玄関まで駆け下りる。


















親が寝ようとしてたが関係ない。



ドタバタと大きな音をたてながらの元へ急いだ。


























「あ。速かったねぇ♪」








笑顔で俺を迎える








「…っいつから此処にいた?」


「えっ!電話かけた時…かな?」









が俺から目を背ける。








「俺が怒ってる理由…わかるな。」


「…勝手に来たから?」


「そうじゃない!」








俺の顔はそんなに怖いんだろうか?






の瞳に涙が溜まっていく。








「家にはいつでも来て良い。…でも、お願いだから独りで外にいるな。心配だから。」








そう言ってを抱きしめる。










俺の腕の中にすっぽり収まる彼女は可愛くて仕方ない。








「ごめっ…なさい。私っ…」


「もうわかったから。ほら泣くな。」








そう言ってタオルが無い為、俺の着ているTシャツの裾をの顔に押し当てる。







「…鼻水付いちゃうょっ。」と言ったの顔にはさっきまでの笑顔が戻っていた。



























「あのね私。誰よりも早く伝えたかったのっ。徹くんのお父さんやお母さんよりも早く。」







そんなことを笑顔で言う
















なんというか…






そんなこと今まで無かったから嬉しかったりする。

























俺は何も言わず顔を近付ける。







はその意味をすぐに理解し目を瞑る。


























軽く触れるだけのキス。
















なのに俺の体はこんなにもで満たされてしまう。















「徹くん…。」














が俯きながら話す。






小さな声だけど、俺に届けるには充分だ。












「…ん?」









































「誕生日おめでとうっ♪」













俺が返事をする前に、次はから唇を重ねた。






満足げなの顔。





















もうやるな。…っと言ってはみたが、のこの笑顔を見る限り来年もやりかねない。






















まぁ、そんな誕生日が続いても…


























面白くて良いかも知れない。














































…はい。遅くなりましたっ。


徹くんお誕生日おめでとう。

そして…ごめんなさいっ。。。


落ちも何にも無い話です。











 

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