「徹くん!映画にでも行きませんか??」
ふたりっきりの部室でが切りだした台詞。
あまりに突然の事だったので俺は飲んでいた缶コーヒーを吹き出しかけた。
「・・・どうした突然。」
「ちゃんに映画の割引券貰ったの♪」
ジャッジャァ〜ンっと訳のわからない効果音をつけながら財布から2枚の紙切れを取り出した。
「・・・ブラザーズとは行かないのか?」
「だってどっちか誘ったら喧嘩になるから。」
「私と行くの・・・嫌??」
の無意識の上目づかい攻撃にやられそうになる。
「・・・今週日曜の1時、駅で待ち合わせだ。」
俺は帽子を深く被りの持っている紙切れを1枚奪いヒラヒラさせながら言った。
俺はアイツ等(テニス部員)よりか平然を装っているが
俺だっての事が気になっている。
気になってるつーか、もう好きなんだと確信はしている。
でも俺は皆みたいに話しかけねーし、目立ってねーから、
正直俺のこと苦手なんじゃないかと思ってた。
そんなからまさか映画に誘ってくれるとは思っても見ない出来事だった。
ヤバイ・・・柄にもなく緊張してきた///
* * * * *
俺は待ち合わせ時間より早く駅に着いた。
意図的とかじゃなく、家にいても落ち着かなかったからだ。
「徹く〜ん♪」
背後から俺を呼ぶ声が聞こえた。
振り返ると、いつもとは違うがいた。
私服は春らしい淡い色のスカート。
制服やジャージを着てるときのあどけないからは想像出来ない
大人っぽい服装にまた、ドキッときた。
「私、遅刻?」
駅の時計の針は12:55を指している。
「いや。間に合ってる。」
「よかったぁ♪家を出るときシロちゃんとクロちゃんに邪魔されちゃって・・・。」
やっぱりブラザーズは。。。
「上映時間になる前に行こう♪」
そういうと俺の手を引っ張って走り始めた。
「ちょ!走んなくても間に合うだろ!!」
「だって楽しみなんだもん☆」
俺はの横に並べる速度で走った。
手が離れないように。
* * * * *
「よかったね〜♪」
そんなに「そうだな。」とかいいながら映画の内容はあんまり覚えてない。
恋愛映画なんて見たこと無いから正直焦った。
でも、隣で座ってたが一生懸命に見てたからたまにはそんなのもありだろう。
ラブシーンにはビックリしたけど・・・。(情けない)
映画館を出て軽く店をフラフラした。
女とあまり出かけないから正直どうすればいいか分からない。
するとがある店の前で立ち止まった。
「かわいぃ。」
見つめる先には女らしいピンクの無駄な飾りが一切無い指輪。
俺は知ってる。
が本当に欲しいときはあまり言葉にしないって。
「買ってやろうか?」
「えっ!いぃよ!!」
の言うことを無視し俺は指輪をひとつ手に取りの指にはめた。
「今日の記念だ。」
サイズがピッタリのその指輪を会計まで持っていった。
は俺の隣で軽く俯き「ありがとぅ」と小声で言ったのを聞き逃さなかった。
帰りに小さな喫茶店でコーヒーを飲んだ。
は向かえの席に座り、俺が買ってやった指輪を眺めてる。
そんなに喜んで貰えてこっちも嬉しかったりする。
「ほんとに今日はありがとう♪付き合って貰って・・・しまいには指輪まで。」
「いや。俺も楽しかったし。」
いろいろな店にはいる度の表情がコロコロ変わり面白かった。
さすがに宗教っぽい店に入ろうとしたときは必死に止めたが・・・。
笑った顔や悲しい顔、いろいろなを知った気がする。
「あの・・・ね。」
が改まって話を切り出した。
「嬉しかったの。徹くんが一緒に映画見てくれるなんて思わなかったから///」
可愛いんだよ。
「・・・気付いてねーんだろうけどさ。」
「好きなんだよ。」
「俺だって人一倍お前のこと見てきた。」
「うそ・・・」
「嘘じゃねーよ。」
「俺だって誘って貰えて嬉しかった。」
マジだせぇ・・・。
柄にもなく顔赤くして。
「・・・ま。そういうことだ。あまり気にすん・・・」
「私の気持ちは聞いてくれないの?」
は・・・?
「本当は・・・徹くんと一緒に出掛けたかったから、ちゃんに映画の券貰ったの。」
「指輪買ってくれたのも本当に嬉しかったの。」
「私も徹くんのこと好きなんです。」
最後の方は声が小さすぎてよく聞こえなかったが
俺のこと好きだっていうのはわかった。
「・・・マジかよ。」
「・・・マジです。」
「・・・冗談じゃなくて。」
「・・・こんな冗談いえません。」
「あ・・・悪い・・・。」
どうすればいいか分からない・・・。
が俺のこと想ってるなんて一切考えたことねーし。
「付き合ってくれ。」
やっとの想いで出した台詞。
前との会話の繋がりがねーけど。
そんな俺の言葉には
「はぃ。」
っと、これも消えそうな声で答えた。
耳を真っ赤にし、少し俯いている。
指輪を買ってやったときと同じように。
「左手だせ。」
「はぃ!!」
突然の俺の言葉に驚いたのか急いで俺の前に自分の左手を差し出した。
俺はその細い手の中指につけられている指輪を外し・・・
薬指につけ替えた。
「中指のサイズだからちょっとデカイな。」
「うぅん!すっごい嬉しい♪」
俺のこんなハズイ行動にも動揺せず
は目を輝かして自分の指を見つめた。
そんなを横目に俺はコーヒーを飲み干した。
* * * * *
「今日はいっぱい願い事が叶っちゃった♪」
帰り道、が発した言葉。
「何が?」
「えっとねぇ。徹くんと映画を見ることでしょ。」
「それと徹くんとお買い物して、お茶して・・・」
「徹くんの彼女になったこと♪」
えへへっとがあまりにも可愛くて、
ほんとに俺のものになったことが嘘のことのように思えた。
「あっ!私も徹くんに何かプレゼントしたい!!」
「は?」
「私は徹くんに指輪貰ったのに、何もお返ししてないの!」
そんなことを律儀に考えるのがらしい。
「何欲しい?」
俺の手を握り問いただす。
「・・・とくになんも。」
「それじゃぁダメなの!」
俺が欲しいのは・・・
「・・・は俺のだって言う証拠。」
「・・・」
「今だ実感ねーんだよ。が俺の彼女だっ・・・」
無理だってのは知ってる。
でも、そんな俺の願いもは叶えてくれた。
キスひとつで。
「私は徹くんので、徹くんは私のだよ。」
そう言ったの顔はかなり大人びていた。
「・・・マジ情けねーよ・・・。こんな弱音吐いて。。。」
「私はそんな徹くんも含めて好きなんだよ。」
いつものようにニッコリ笑う。
その笑顔がいとおしい。
「俺からしてもいいか?」
は何も言わず目を瞑り、少し上を向いた。
触れるだけの軽いキス。
ただそれだけなのに確かに俺の唇に残る、
やわらかい感覚。
甘い香。
きっと今日見た映画の主人公もこんな気持ちだっただろう。
恥ずかしそうに俯いたは俺の手を取り
「遅くなるから帰ろう。」
っと言って歩き始めた。
夕日に伸びる二つ並んだ影。
小柄なの隣に自分がいる。
の右手に俺の左手。
の左手にピンクの指輪。
恋愛映画の主人公は、
可愛いと、
弱気な俺。
FIN
終わりがすっごい微妙でゴメンナサイ!!!!
結構前から暖めてた作品です。
あぁぁぁぁぁぁぁぁ。。。。。........
意外と長くてすみません・・・。
落ちも無くてゴメンナサイ。
徹くん見たいな人やっぱり好きです。
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